楽しみに待っていた『ANNA』のデジタルリマスター版、観てきました。
アンナ・カリーナ、セルジュ・ゲンスブール、マリアンヌ・フェイスフル。
トッピング全部のせ…
いやもとい、全員メイン級レベルの贅沢フレンチフルコース!
約20年ぶりの鑑賞ですが、記憶よりもだいぶアヴァンギャルドな映画でした。
あの頃はただただ「アンナがかわいい」としか言えなかったけども、2019年の今観たら、20年前から今までの思い出や感情が頭の中で撹拌されて全然別の作品にすら思えました。
ドーヴィルという街はもちろん知らなかったし、それどころかトロカデロもパリのどこにあるのかすら知らなかったとき。
フランス語レベルはほぼゼロだったし(sous le soleil の「sous」も知らないレベル)、セルジュやアンナのこともまだそこまで知らなかった。
エディ・ミッチェルもビュス・パラディウムも知らない。マリアンヌ・フェイスフルがミック・ジャガーの元カノなんてことも知らない。
初めて観た頃から『ANNA』が好き、という思いはあっても、ひとつひとつのシーンはほとんど覚えていなかった。
あの頃の倍生きて、知識も増えて経験値も上がった。
去年の今頃はアンナご本人にも会えた。
今、こうしてスクリーンで観ることができてよかったけど、今回は自分の感情が鑑賞中の脳内の大半を占めてしまった…。
最近だと『スローガン』とかもそうなのだけど、昔見た作品を再鑑賞するときはどうしてこうも純粋に作品を観られないのだろう。
赤・青のセーターに透明のコートをこんなにもかわいく着こなす人なんて世界中どこを探してもこの人しかいないんじゃないかな。
ラスト、白の大きめセーターで車窓から顔を出し涙を流すアンナ。
あのシーンを観て20年前にはこんなにも美しいと感じたかな。
VHSも持っているのですが、おそらく実家の片隅でカビだらけになっていることでしょう…